夏が終わった話

長かった夏と秋の境目のよくわからない季節(昔はこれが秋だったのか?)が終わり、ようやく秋になった気がする。今年は夏から秋へのチューニングが難しかった。岸田繁が「季節に敏感でいたい」と歌っているが、自分の身体は感度が非常に鋭く、季節が変わると指の皮がズタボロに剥ける。昨日まではなんでもなかったシャワーのお湯で指先に突き刺すような痛みを感じるほど、明確に季節の変わり目を実感できる。その境目がちょうど今日だった。そんな時にようやく1日に対してチューニングができるようになった。

 

チューニングが合うと日々は楽しくて、「ファミマでホットコーヒーを2杯買ってこい」と頼まれても(文体から雰囲気を察してください)意気揚々とコンビニに向かえる。しかし指先の皮がないのだから、熱い飲み物なんて確実に持てない。そのためファミマの店員にカップホルダーはあるか?と聞くと「有料のレジ袋を買うとカップホルダーがついてくる」と言われた。これに金を払うことはなんの問題もないけれど、環境への配慮のため有料にされたレジ袋、という建前すら成り立っていない状況に笑ってしまった。結局3円で指先を守る権利を買い、使命を果たした。3円で世界が救えたんだから、3円を笑えないですよ。

 

そんなわけでグンジョーガクレヨンの2ndや、なぞなぞ商会のアナログと、ほぶらきんのカセットなどを買った。マッチングアプリなんかをしていると自分の趣味は誰とも交錯しないけれど、こういった現場には常に自分の前に、誰かがいる。SASUKEでいうところの山田勝己と反り立つ壁の関係で、決して乗り越えられない。そういう人の後を追って生きているわけであるが、自分の後ろに人はいるのだろうかと不安になる。山田勝己には後継者がちゃんといる、SASUKEしかなくても後継者がいる。しかし自分の後継者というか、同じ道を歩む若者がいない。いるのかもしれない、でも、いないほうがいいと思う、いて欲しいなと思うけれど。そんなとき道標になれるといいよな、と思っている。

 

夏が終わるとムーンライダーズが聞きたくなる。一年中聞いてるんだけど。

https://youtu.be/Gb7YK0u8irk